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《MITSUI OCEAN FUJI》
憧れのクルーズ旅で
日本の魅力に出合う
前編|日本各地をめぐり寄港地の文化を知る

2025.6.9
《MITSUI OCEAN FUJI》<br>憧れのクルーズ旅で<br>日本の魅力に出合う<br><small>前編|日本各地をめぐり寄港地の文化を知る</small>

リゾートホテルのような船内での滞在や、日ごとに異なる絶景を楽しめ、寄港地では新しい出合いや発見が待っているとあって、いま熱い注目を集めているクルーズの旅。そんな中、2024年12月に「MITSUI OCEAN FUJI(以下、三井オーシャンフジ)」が就航した。寄港地でのツアーも充実している同船のクルーズ旅なら、陸路での旅とは異なる、日本の魅力に出合うことができる。

クルーズ旅だからかなう“日本再発見”

「にっぽん丸」で知られる「商船三井クルーズ」の新しいクルーズ船「三井オーシャンフジ」。229室の客室すべてが海に面したスイートで、そのほとんどにベランダが付く。長旅でも疲れない十分な広さがあり、ソファにテーブル、ミニバー、バスタブ、ウォークインクローゼットまで備える。インテリアも上質で、まるで動くリゾートホテルのようだ。

三井オーシャンフジはさまざまなクルーズ船の中でも比較的小回りの利くサイズであるため、超大型船は寄港できないローカルな港にも立ち寄ることができる。寄港地観光ツアーではその土地を深く知るプランが用意されており、知られざる日本に出合えるのだ。

たとえばこの春は横浜を出港し、コースにより長崎、博多、函館、鳥羽などを1週間前後でめぐる旅が好評。夏は青森のねぶた祭や徳島の阿波おどりを組み込んだコース、秋は沖縄や奄美の島々をめぐるコースなどが用意されている。途中、韓国の釜山ぷさん済州島ちぇじゅとう、台湾など外国の港に立ち寄るのも特徴。船内は食もイベントも充実しているので、移動時間を楽しみながらいくつもの寄港地を渡り歩くことができる。旅慣れた大人たち、そして二世代、三世代での旅にもおすすめだ。

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日本各地をめぐり
海の拠点の文化を知る

出港時のセイルアウェイ・パーティ。ブォーッと低く長い汽笛が鳴り、プールサイドで生演奏がはじまる。だんだん遠くなる港を眺めていると、いよいよ航海かと胸が熱くなる

5月のクルーズ旅では、船は横浜港を夕方5時に出港。暮れゆく頃に東京湾を出て、いざ太平洋の大海原へ。最初の寄港地である山口・防府ほうふに向かう。夜、レストランで食事を終える頃、世界で活躍するハーモニカ奏者による乗船歓迎ショーが、続いて乗船歓迎ダンスパーティが開催された。

クルーズ旅は一度参加するとハマる人が多いと聞く。その理由のひとつは、船内に楽しみが多いことだろう。食事はもちろんのこと、ステージでは毎夜、音楽ライブやマジックショー、落語などが開催される。

真打ちによる落語のステージの様子

そして夜にはダンスナイト。ハウスバンドの生演奏で踊れるとはなんとも贅沢だ。ほかに、ストレッチや瞑想、ヨガ、ちぎり絵教室などのアクティビティが多数用意され、一日中飽きることがない。船内に本格的なスパもあり、日頃の疲れをリセットするのも、いい時間の使い方だ。

三井オーシャンフジでは、夕食時からドレスコードが設けられる日程がある。フォーマルの夜、エレガントに着飾ったゲストはみな輝いていて、船全体が華やかなオーラに包まれていた。

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寄港地で出合う日本の魅力

山口・防府に寄港。寄港地観光ツアーでは防府天満宮や毛利元就ゆかりの地を訪ねた。市街地から遠い港ではシャトルバスが用意されていることもあり、自由散策もしやすい

さて、世界を見渡せば、クルーズ界は10万tを超える巨大客船が主流。そんな中、三井オーシャンフジはおよそ3万tという比較的コンパクトな船体。ゆえに、大型船では停泊できない離島や、市街地に近い小さな港にも立ち寄ることができるのが魅力だ。

それぞれの寄港地で予定されているツアーは、人気の観光地をめぐるだけではない。一般には立ち入れない寺の内部を僧侶に案内してもらったり、地元に精通した専門家と街を歩いたりといったプランもある。

古くから軍港として栄えた長崎・佐世保にて。現在も海上自衛隊とアメリカ海軍が一部を使用する港は独特の雰囲気。船内に佐世保バーガーMAPも用意され、ぶらり歩きに役立つ

佐世保では、長崎・平戸藩の御用窯としての歴史をつなぐ三川内みかわち焼の窯元と、江戸時代から続く造り酒屋を訪問。「平戸松山窯」では代々継承されてきた繊細な染付の技に触れ、「梅ヶ枝酒造」ではさまざまな酒が生まれる酒蔵を見学し、試飲した。ツアーに参加していたマダムで、これまで120カ国を訪れたという旅の達人はこう話す。「自分では選ぶことのない場所に連れていってもらえるのが船旅の魅力なのよ」。同感だ。

船で旅をしていると、普段は気にかけることのない「海の道」が存在し、日本にはいくつもの港があることにあらためて気づく。港は人と物の出入り口であって、そこには海の拠点ならではの文化があり、心洗われる風景に出合える。一度の航海で、寄港地ごとに日本の魅力を再発見できるのがクルーズ旅の真骨頂ではないだろうか。

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由緒ある三川内焼の窯元
「平戸松山窯」へ

佐世保の寄港地観光ツアーで立ち寄った窯元。三川内焼は16世紀末にはじまり、平戸藩御用窯として幕府や朝廷への献上品を制作してきた。平戸松山窯は産地が培ってきた精巧な染付技術を継承。陶工たちが暮らす集落を歩くと日本陶磁器の歴史に思いが至る。

ヤギのあごひげを用いた極細の筆先で、白磁に繊細な絵付を施す。三川内焼の伝統的な絵柄なのが、献上品として用いられ子孫繁栄を表す唐子(からこ)絵。吉祥を意味する青海波や龍も人気。当主の長男で17代目の中里彰志さんは新しい色を使った染付表現にも挑戦。

 

日本酒からウイスキーまで手掛ける
「梅ヶ枝酒造」

佐世保を代表する江戸時代からの造り酒屋。9代目当主の長野哲也さんを中心に、兄弟3人で昔ながらの日本酒造りを続ける。一方で、焼酎、ジン、ウイスキー、地元の果物を使うリキュール、酒粕を利用した奈良漬なども手掛け、酒の楽しみを広げている。

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左から、多くを長崎産の素材でつくるジン、日本酒の代表銘柄「梅ヶ枝」、長崎県産のびわを用いたびわ酒、焦がした砂糖でカステラ風に仕上げた甘酒

 

【後編】
リゾートホテルのような滞在とは?

 
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〈MITSUI OCEAN FUJI〉
01|日本各地をめぐり寄港地の文化を知る【前編】
02|リゾートホテルのような滞在とは?【後編】

text: Yukie Masumoto photo: Maiko Fukui
2025年7月号「海旅と沖縄」

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